劇場上映アニメ『攻殻機動隊ARISE』シリーズ全4話を、それぞれ前後編に再編集、さらに新作『攻殻機動隊 新劇場版』につながる完全新作エピソード2話を加えた、TV シリーズ『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE(アライズ オルタナティヴ アーキテクチャ)』(以下 文中『ARISE AA』)。現在放映中の本作の完全新作エピソード「#9」「#10」前後編2話の詳細が明らかとなった。タイトルは「PYROPHORIC CULT」、炎を自由に操る新キャラクター「パイロマニア」が登場する。
▲炎を操る新キャラクター「パイロマニア」
新キャラクター「パイロマニア」は、『ARISE AA』シリーズを通して事件の発端、物語の核となっている「洗脳・ゴーストへの侵入・擬似記憶の形成」を一度に行う電脳ウィルス“ファイア・スターター”の信奉者。社会の絶対悪として草薙素子らと対峙する。この「パイロマニア」を演じるのは、TV アニメ「TIGER &BUNNY」ネイサン・シーモア役、「テニスの王子様」乾貞治役などで知られ、俳優としても活躍する人気声優・津田健次郎さん。攻殻機動隊のファンであったという津田さんはこのオファーに「テンションがあがった」と快諾したという。この度、放映に先駆けて津田さんとシリーズ構成・冲方丁氏よりコメントが届いた。
津田健次郎オフィシャルコメント
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を初めて見たとき、こんなに静かで深いSF映画がありうるのだと、とても強い印象を受けました。ですからシリーズ最新作にあたる『ARISE』の出演依頼をいただいた時はテンションがあがりました。アフレコの時もバトーの軽口を聞いたりすると、ついファンの視線に戻ってしまいました。
僕が演じたパイロマニアというキャラクターは、見た目が独特でぼうっとしているように見えます。でも、同時に暗いなにかを感じさせるようなザラっとした感触のある存在です。初登場で彼はたき火を見つめているのですが、SF作品らしからぬ自然の中のシーンで、そこからしてパイロマニアの異様な雰囲気が伝わってくると思いました。パイロマニアは感情を抑えて、淡々と喋るキャラクターなのですが、その中でどこまでセリフにエネルギーを込めていくかは苦労したところでした。そういう意味では、抑えたお芝居の多い草薙素子ともどこかしら共通する部分のある存在かなと感じました。パイロマニアは草薙素子と対峙していきますが、それは決して熱い戦いではなく、むしろ静かな戦いです。それはとても『攻殻機動隊』らしいものだと思いました。この全編から漂っている『攻殻機動隊』らしさを楽しんでいただければうれしいです。(津田)
シリーズ構成・冲方丁による新エピソードの見所、新キャラクターについて
草薙素子と対峙する敵、パイロマニアを描く。それが『ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』#09、#10 の狙いです。
パイロマニアは素子が肯定するものを否定し、否定するものを肯定します。彼はウィルス“ファイア・スターター”を全肯定するキャラクターで、それ故に、素子の敵であり同時に社会の敵としても立ちはだかります。ネットはあらゆる価値観を拡散させ、社会的なくびきからの逸脱を可能にします。そのためネットの拡大に社会が追いつけない時、社会よりもネットの価値を重くみる存在が現れます。パイロマニアはそれが行きすぎたキャラクターで、社会よりもウィルス“ファイア・スターター”のほうに価値を見いだしているため、社会を破壊することにいささかのためらいも持ちません。一方、草薙素子は現在、既存の組織構造からはじき出されている存在ですが、それでもズカズカと現場へ入り込んでいって、自分のやるべき仕事をもぎ取っていく。#09、#10 ではそういう草薙素子の“戦い方”が一番強調されたストーリーになっています。そんな草薙素子はパイロマニアにどう立ち向かっていくのか。そこを楽しみに見ていただけたらと思います。(冲方)
津田健次郎さんを迎えてますます「静かに」激しくなっていく新作エピソード「PYROPHORIC CULT」は、6月7日、6月14日(TOKYO MX/ほか全国順次)にて放送開始。このエピソードが収録されるDVD&Blu-rayソフトはバンダイビジュアルより8月26日発売予定。
攻殻機動隊 新劇場版
新劇場版へとつながるエピソードとして描かれる「PYROPHORIC CULT」の放映を前に、TOKYO MXでは5月31日に「『攻殻機動隊 新劇場版』6.20 公開!!25 分でわかるARISE SP」を放映。そのタイトルの通り『ARISE』を25分のダイジェスト映像で紹介する。映画公開後の6月25日には「『攻殻機動隊 新劇場版』公開記念!!25年を25分でおさらいSP(仮)」も放映、こちらは『攻殻機動隊』の25年を25分に凝縮した内容となっている。映画『攻殻機動隊 新劇場版』は6月20日より全国ロードショー開始。
『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』公式サイト
©士郎正宗・Production I.G / 講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会