BANDAI SPIRITSホビー事業部の新アイテム「軽トラぶそう」! その魅力を伝えるインタビュー企画の後編は、テストショットの詳細レビューと合わせて、引き続き開発担当の清宮僚太氏(以下、敬称略)へのインタビュー後半をお届けします。
▲サービス精神旺盛の清宮氏!
──武装というコンセプトではありますが、「軽トラぶそう」もおじいちゃんが農作業用に軽トラを改造したという平和な設定ですね。
清宮:「ねこぶそう」にも公式ストーリーを付けていましたが、第三弾のストーリーではねこたちがお昼寝のため寝心地のいい場所を求めて旅立っています。そこでおじいちゃんと出会い、「軽トラぶそう」が誕生した……というバックストーリーで繋がった世界になっています。
──「ねこぶそう」のねこはPVC完成品でしたが、今回は軽トラ部分も組み立て式のプラキットになっています。
清宮:このとおりランナーパーツで、ライトやウィンカー部分はタンポ印刷で彩色済みになります。クリアパーツも使って、ミニチュアカーとしても充実した出来になったと思います。フロントバンパーの部分が猫口っぽい形状になっていたり。車体正面のエンブレムは肉球マークになっているんですよ。
▲一部塗装済みパーツやクリアパーツを含めた軽トラのランナー。車内の運転席まわりも、しっかり作り込まれています。
──実際に作っていくうえで、面白かったパーツ、難しかったパーツはありますか?
清宮:ぶそう部分はトラクターなどの乗り物としての完成形があるので、そこからパーツへ分解していくのは大変でしたね。限られたランナー面積に納めないといけないなかで、ギリギリの容量になってしまい苦労しました。また、ひとつのメカを4~5パーツに分割しているわけですが、メカのミニチュアとしては少ないパーツ数なので、そのなかでもリアルに見えるように構成するのも大変でしたね。
▲メカ部分のランナーパーツ。ランナーサイズが決まっている中で、メリハリのある構成のパーツが配置されています。
──軽トラ本体も、窓枠にワイパーまでモールドされていたりと、このパーツ数で細部まで作り込まれているんですね。シャーシ裏にまでジョイント穴を配置しながらも、車らしいディテールになっています。
清宮:シャーシのジョイント穴も、設計で苦労したところですね。表側からは「組換えのためにこの位置に穴が欲しい」ということで配置するんですが、そうするとパーツの裏には当然凹凸ができるわけです。さらに荷台側にもジョイント穴の凹凸があり、そのシャーシと荷台をプラモデルとして組立てるためのピンも間に配置しなければならないので、両立させるのは難しい作業でした。
ちなみに、パーツ裏側の組立て用のピンも出来る限り3ミリに統一しているので、組み換え遊びに使えるかもしれませんね。タイヤを取り付ける車軸も3ミリになっていますよ。
▲車体の裏側にも組み換え用のジョイント穴を配置しながら、自動車のシャーシらしいディテールが入っています。
お話を伺いながらテストショットを弄っているうちに、しだいに「このパーツとこのパーツが……」と組み換えを始めてしまうライターと清宮氏。インタビュー取材だというのに、ついつい口数が少なくなります。
▲メカパーツは、ジョイントパーツを内蔵する形で農作業メカに。L字、十字など様々な方向に軸を組み合わせたジョイントが繋がって、メカのフレームを形作っています。
▲「おっ、このジョイントは足になりそうだぞ」というところから、徐々に人型に組みあがっていく軽トラとぶそうパーツ。ジョイントは「ねこぶそう」のときより細かくパーツ分けされていて、必要に応じて組み合わせることで大きなフレームにも変化するようになっています。
▲ヘリコプター×2のセットは他のメカと対照的に細かいパーツで構成されています。ロボの腕のように、同じパーツが2個ずつ揃う内容になっているのが組み換えの際に嬉しいところ。一方、右の清宮氏の作例は四輪がわりにキャタピラを配置したタンク型に。
──こうして組み換えを始めると、つい時間を忘れてしまいますね。現在のホビー市場の中でも、こういった3ミリ軸による組み換えができるアイテムは数多く出ていますが、ユーザーも「そのひとつを買えば他はいいや」ではなく、色々なアイテムを買い揃えることでより遊びが広がる、といった良いスパイラルが出来ていますよね。
清宮:3ミリジョイントを使用している製品に対して連帯感みたいなものを勝手に感じさせてもらっていますね。他製品が3ミリジョイントをどういう風に使っているんだろうというのは常に参考にもなりますし、お互いに市場の中でいい影響を与えあえればいいですね。
▲もちろん、「ねこぶそう」のぶそうパーツと軽トラを組み合わせることもできます。
▲荷台にもいろんなものを載せてみたくなります。
▲軽トラと並んでいるのは、展示用に作られた軽トラと同スケールの「ねこぶそう」。
──軽トラの荷台というのが、組換えを抜きにしてもいろいろ載せるだけで楽しめそうですね。こんな風にねこを乗せてみても可愛い……というか、かなり巨大なねこという感じになりますが(笑)。
清宮:この商品の特徴の一つとして、「ねこぶそう」の続編なのにスケールが全く統一されていないということがあります(笑)。ここはシュールで面白いかなと思って、あえて無視しています。世界観は繋がっている設定なんですが、そのあたりの不思議さも含めて楽しんでもらえたらと思います。
──今回は軽トラだけでもプラキットとして遊べるので、ちょっとしたペイントやデコでカスタマイズしてみるのも楽しそうです。
清宮:軽トラの設計は他製品でも車両モデルを手がけてきたチームに依頼して、しっかりとしたリアルな作りになっています。ぶそうメカの方にもディテールを入れて、「ねこぶそう」のときより模型的なものになっているので、情景として作り込むといった遊びも楽しいんじゃないかと。
▲「ねこぶそう」のジャケットを荷台にジョイントすると、幌付きの軽トラ風味に! ここからのデコレーションもしやすそうです。
──では最後に、ユーザーへの一言などお願いします。
清宮:遊び方にルールはないので、ユーザーさんの遊び方を見て教えられることが多く、今回もとても楽しみにしています! 次に何を作るかはまだ考えている最中ですが、また面白いものにしていきたいので、まずはこの「軽トラぶそう」をよろしくお願いします。
──ありがとうございました!
「ねこ」から「軽トラ」への道のりを語っていただいたインタビュー前編はこちら!
衝撃の第一弾「ねこぶそう」を掘り下げたインタビューはこちら!
清宮氏のサービス精神にも注目です!
(インタビュー・文 TAC☆)
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