鉄道模型メーカーKATOより、JR西日本の振子式特急電車「283系〈オーシャンアロー〉」がついに製品化!
あみあみニュースは製品の注目ポイントや魅力にくわえて、豆知識など様々なお話を企画担当者からお伺いしました!
貴重な内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
ダイヤ運転など、よりリアルな運転遊びでも楽しむことができます
──今回の「283系〈オーシャンアロー〉」の模型化企画が最初に立ち上がったのはいつ頃でしょうか? 企画の経緯について教えてください!
KATO 具体的に企画を動かし始めたのは2022年の8月頃で、お客様からのご要望にお応えして製品化しました。
キハ81系からはじまる特急「くろしお」の系譜のうち、穴となっていたということもありますが、JR四国2000系、同じ振子車両として智頭急行HOT7000系「スーパーはくと」の2車種の製品化により、当社が今まで見送っていた形式の製品化実現性を理解していただけたようです。以前にも増した283系へのご要望の声が大きな後押しとなりました。
──模型化にあたり、最初に決まったことは何でしょうか? または、当初の企画から思いもよらない形に着地した点などありますか?
KATO 当社独自の振り子機構を取り入れることには検討の余地はありませんでした。2種類の編成パターンを持つ付属編成を含めた商品構成に悩みましたが、お客様が揃えたくなるように検討しました。製造両数が少ないという点をヒントに、3種類のセットをひとつづつ購入すれば実車同様の全18両がお手元に揃うという工夫をしています。編成パターンはもちろん、「模型で実車同様の運用が再現できる」ということです。ダイヤ運転など、よりリアルな運転遊びでも楽しむことができる、ということは副産物と言えます。
──「283系〈オーシャンアロー〉」の、特に注目してほしい点はどこですか?
KATO 金型の技術力を強みとする当社としては、窓ガラスパーツの平滑性にご注目いただきたいです。特にパノラマグリーン車は大きな曲面ガラスですが、ボディとの整合性も抜群です。
そのほか、細部のこだわりポイントとしては、ヘッドライト・テールライトの光り方が実感的になるよう、導光用のプリズムと表面のカバーを別部品にしたり、実車のLED配列に合わせた切れ込みを入れて表現しています。
これまでの製品でも採用していますが、当社の振り子式車両には独自の「振り子機構」を搭載しており、曲線区間で実車同様に車体を内側に傾ける姿をお楽しみいただけるのもKATO製品ならではです。
──車両の魅力について教えてください!
KATO 他の車両とは一線を画すデザインと、全18両のみの存在という特別感です。283系の登場の背景として、リゾートエリア南紀の観光資源開発に伴う需要拡大が見込まれる一方、高速道路網の整備も行われていたため、鉄道の競争力を高める必要がありました。リゾートエリアへ向かう特急電車ならではのコンセプトを付加して設計された283系は、イルカをイメージした前頭部はもちろん、前面展望可能な構造であることや3号車のフリーラウンジなど、内外装ともに特徴的な車両になりました。量産は行われませんでしたが、それ故に特別感があり憧れの車両という位置づけになっていると思います。
──オフラインイベントでも既に試作品がお客様の前にお目見えしているかと思いますが、実際にお客様からの反応はいかがでしたか?
KATO 「色味」についてのご意見が非常に多かったです。実際にご覧いただいた方には概ねご満足いただけていたと思いますが、実車写真を見てもカメラの性能や天気、見る場所によって違った印象になり、お客様のもつイメージもそれぞれ異なるようでした。実車との比較も行い、自信を持ってオススメできる仕上がりとなっています。模型の写真を撮る際も照明によって写り方が変わりますので、是非イベントや店頭で現物をご確認いただければと思います。
──「オーシャンアロー」に関する、豆知識やトリビアはありますか?
KATO 2011年3月まで、付属編成も新宮まで乗り入れていたことが特徴的だと思います。「スーパーくろしお」も「オーシャンアロー」も繁忙期は9両で運行されますが、基本的に「スーパーくろしお」は白浜で増解結を行っています。白浜~新宮間は6両編成でしたが、「オーシャンアロー」は全区間9両編成で運行されていました。ただし、2011年3月以降も「付属編成+付属編成」の6両編成で新宮まで乗り入れることはあり、この編成は「283系付属編成用動力装置」をお求めいただくと再現可能になります。
──商品化に向けて一番印象に残っていること、大変だったことはありますか?
KATO 前頭部を中心とした外観形状は設計時点から詳細に検討して再現に努めました。貫通形先頭車の前面カプラーとテールライトの位置関係と外観性の両立が意外な難点でしたが、設計部門が頑張ってくれました。交換用の部品として付属している貫通形先頭車のスカートの形態も抜かりなく作り分けを行いました。
「オーシャングリーン」と言われる塗色の再現には神経を使い、各部署で検討に検討を重ねました。またシンプルな2色の塗分けは、大量生産を行う際には逆に期間を必要とする課題点にもなります。納得の製品をお届けするために、スタッフ一同尽力してまいります!
──本商品の購入を検討している方にメッセージをお願いします!
KATO 通常期は6両編成で運行される「オーシャンアロー」は、「6両基本セット」のみのお求めでもお手軽に実車通りの編成としてお楽しみいただけますが、地元の方以外では繁忙期の9両編成の印象が強いのではないでしょうか。「3両増結セット」を追加すれば、両側がグリーン車となる9両編成を再現できます。「9両セット」は6両基本・3両増結と異なる車番設定で、全セットお求めいただくと実車通りの全18両が揃います。大変好評いただき「9両セット」はメーカー完売、その他も予約を続々いただいている状況ですので、ご注文はお早めに!
──最後に、本商品に適したレイアウトプランなどはありますか?
KATO 今回、京都から新宮まで様々な風景の中を駆ける特急「オーシャンアロー」の長旅をイメージしたおすすめのレイアウトプランをご用意しました。この後詳しく紹介させていただきます!
「オーシャンアロー」を機に鉄道模型を始められる方や、もっと手軽に楽しみたい方には、本商品の振り子機構をより大迫力に楽しめる「複線線路セット」をオススメします。「V11 複線線路セット」または、その内側の半径の「V14 内側複線線路セット」、外側の「V16 外側複線線路セット」のいずれかをお部屋のサイズに合わせてお求めいただければカーブで車体を大きく内側に傾けて走る迫力のシーンがご自宅で再現できますよ(※「コントローラー」「アダプター」は別売です)。
──ありがとうございました!
おすすめレイアウトプラン&ポイントをご紹介!
KATO 単線区間と複線区間の両方を楽しめるプランになるように、ということを意識しました。「オーシャンアロー」は運行区間の約2/3(京都~紀伊田辺)は複線以上の区間となり、例えば海沿いの撮影スポットとして人気の岩代~南部間も複線です。一方で単線区間も、海沿いばかりというわけでもなく山間を抜けるような場所もあり、乗車していても印象的です。単線・複線を直通できるプランとすることで、都市とローカルを結ぶ長旅を模型で楽しんでいただけるようにしました。各地で共演する様々な車両と一緒に走らせたり、海や山のジオラマを部分的に作りこむのも楽しいと思います。
▲レイアウト全景とプラン図。
大きさはなんと4畳分!
※写真で使用している机は600mm×1800mmを6台
▲駅ホームは11両編成まで収まります。「283系<オーシャンアロー>」9両編成も停車可能!
▲端数線路を活用した変則的な駅配線にもご注目!
▲複線区間のカーブはカント付き。
長い直線もあり、実車の複線区間同様に高速走行が映えます。
▲ポイントを渡り単線区間へ進入!
▲単線区間はゆったりとした曲線が中心となる長距離走行のプラン。
振り子機構を存分に活かした走行が楽しめます。山や海のジオラマを作ればより臨場感が生まれますね。
※製品写真は試作品につき、製品と異なる場合がございます。