フィギュアファンの皆様なら、完成品フィギュアの「原型」「塗装見本」といった言葉はよく目にすることと思います。造形を専門とする原型師の造る大元の立体物「原型」に対して、量産される製品のお手本となる「塗装見本(デコレーションマスター=デコマスとも呼ばれます)」として色を付けるのが彩色師(フィニッシャー)のお仕事です。


完成品フィギュアの開発において、原型師による造形と彩色師による塗装は両翼といえるぐらいどちらも重要なのですが、ガレージキットの頃から花形として個人名が挙げられてきた原型師に対し、彩色師という職業が一般的に意識されてきたのは近年になってから。かつては原型師自身が彩色も行うことが多かったということもありますが、分業の進んでいた商業フィギュアの製品データをみても、原型師に加えて彩色師のお名前がクレジットされるようになったのが 2010 年頃からのことで、その実像は意外と知られていません。


そこで今回のインタビューは、様々なメーカーの依頼を受けて塗装見本制作を手掛けるプロ彩色師として、あみあみから発売予定の「ゆるキャン△ 志摩リン 足湯 ver. 」の彩色も担当されている佐倉さん(以下文中敬称略)にお話を伺いました。

▲「ゆるキャン△ 志摩リン 足湯 ver. 」彩色を手掛けるのが、佐倉さんです。

──ではまず、ご自身のフィギュアとの関わりや、彩色師のお仕事にいたるきっかけから伺えるでしょうか。

佐倉 昔はフィギュアというものはもちろん知っていたものの個人で作れるということは全く知らなかったんですが、夫の友人がアマチュアディーラーをされていたのがきっかけで、自分でフィギュアを作るガレージキットというものがあるのを知りました。そこで初めて、真っ白な樹脂のパーツに自分で塗ることができるんだと判って、フィギュアを塗るということにすごく興味を持ったんです。それからは生活の一部になるぐらい、たくさんフィギュアを塗りはじめました。個人で始めた制作代行業の依頼が増えてきたところで、知り合いのつてやメーカーさんからお声をかけていただく形で商業デコマスのお仕事をやるようになり、今はそちらだけでやっている感じです。

──フィギュアを塗るようになる以前には絵を描いたりといった活動はされていたんでしょうか。

佐倉 学生の頃から趣味で二次創作同人誌をやっていたこともあり、絵を描くのは好きでした。フィギュアにも、立体塗り絵みたいな気持ちで入っていったんです。

──今の彩色師のお仕事としては、フィギュア制作にはどのような範囲で関わられるんでしょうか。

佐倉 例えば今回の志摩リンフィギュアですと、元のイラストに合わせた感じでというディレクションをいただいたので、色も完全にイラストに寄せて塗る感じでした。他のお仕事でも設定に忠実にというオーダーが多いんですが、メーカーさん版元さんと一緒に、イメージの齟齬がないようにすり合わせながら仕上げていくことになりますね。

── 一口にイラストに合わせると言っても、ただ同じ色を塗ったのでは、二次元のイラストと三次元のフィギュアを同じように見せることは出来ないわけですよね。

佐倉 イラストって二次元で見て効果的なように実際と違う光を描いていることが多くて、例えば実写なら影になる部分が明るくなっていたりするんです。フィギュアになったときに立体で落ちる影もイラストとは違うので、イメージを壊さない程度にアレンジを加える必要はありますね。キャラクターのイラスト再現として可愛いと思ってもらえるのと、フィギュアとして見て良いと思ってもらえることを両立させるのは難しいといつも思います。

──具体的に気を付けられるのはどういった部分ですか?

佐倉 一番難しいのは顔ですかね。絵師さんの持っている立体感というか、顔を斜めから見たときの描き方と、立体になったときの斜めからの見え方では違うこともありますが、それでも全方位から見たときに元のキャラクターに似ていて出来るだけ可愛いというのは、すごく気を使うところです。

▲全体の彩色の中で、面相と呼ばれるキャラクターの顔を描くのも、もちろん彩色師のお仕事。
最近では瞳のプリントはデカールを貼って表現することが多く、佐倉さんはPCでの瞳のデカール制作も担当されています。

佐倉 顔の面積に対して目が大きいキャラは、少しの違いでも目線が変わってしまうんですよ。今回の志摩リンでいうと、『ゆるキャンΔ』のキャラは元絵がシンプルめなので、少ない線でのバランスをとりながら「可愛い」を模索するように気を使いました。

──他に『ゆるキャンΔ』ならではの塗りというところでいうと、ファッションの色彩設計なども中間色の組み合わせ方が独特ですよね。

佐倉 そうですね。今回のリンちゃんでいうと、髪の毛の青から服も青をメインにしながら、パンツは緑系と、全体に色調を揃えた感じになっていて、その中で色を合わせていくのは難しいというよりは楽しい作業でした。それぞれの色の彩度が高すぎないように、それでいて沈んで濁ってしまわないようにというのは、特に気を配った部分です。

──原型師さんもまたイラストのキャラを立体にするために造形のバランスに気を使っているわけですが、そういった部分は直接相談したりするんでしょうか?

佐倉 仕事の上で、原型師さんと直接連絡をとるといったことはないです。受け取った複製原型から原型師さんが頑張っていただいている部分を最大限くみ取りながら、イラストのイメージに寄せていくという作業になります。原型師さんが着地点を決めていてくださる原型は、そこに向けての作業がやりやすいですね。

──原型を通して、造形とイラストの間を取り持つお仕事でもあるんですね! では、彩色師というお仕事に関して、今後にむけての希望や抱負といったものを聞かせていただけるでしょうか。

佐倉 ベースの彩色やデカールづくりなど、フィギュアという製品に対して彩色師が担当する範囲は増えてきていると思うんです。そうやっていろんなことに挑戦させてもらえる現状はありがたいです。全部を全部やりたいと言うと言い過ぎかもしれませんが、できることが増えていくといいですね。

お仕事場拝見!

▲塗装ブースに整然と並べられた、複数のエアブラシのピース。
細かい道具の整理なども機能美の感じられるデスクトップです。

佐倉 クリアは洗浄不足で他の色が混ざるといった事故を防ぐために、かならず専用に 1 本用意しています。メタリックも、どうしても粒子が残ってしまう場合があるので、これも専用に 1 本ですね。あとはベース色と影色などは同時に使うことが多いので、そのために数本といった感じです。いずれも色が混ざってしまうことは絶対に避けないといけないので、洗浄には気を使っています。
塗料皿はマグネットで金属製の塗装ブースの内壁に貼って、すぐに 1 枚ずつ取れるようにしてあります。
これは塗装仲間の知識共有で得た工夫ですね(笑)。

▲主にデカールのプリントアウトに使われるプリンター。
中段にあるのが、その道では有名な名機 ALPS MD-5500 です。
2010年5月に生産終了となった機種ですが、色が透けないよう下地にする白を印刷することのできる唯一の熱転写プリンターとして代替がなく、大事に使われています。
また、最終的な彩色見本に貼る本番用のデカールは、専門の印刷所に依頼して出力してもらうことになるそう。

佐倉 瞳のデカール制作はパソコン作業になりますが、原型の 3D データと元イラストを見比べながら、まず正面から見た顔のイメージでプリントして、いったん実際に立体に貼ってみた上でゆがみなどを確認して再度 PC 上で調整を重ねることになります。筆で描きこんでいた頃に比べて、楽になったとは言えませんが、監修での修正などにも対応しやすくはなりましたね(笑)。

──今回、この「ゆるキャン△ 志摩リン 足湯 ver.」で、特に気に入られている部分や、これから予約するユーザーにアピールしたい部分などは?

佐倉 台座も含めてお任せしていただいたので、石の土台や板張りの部分なども凝っています(笑)。
リリース用写真でとてもきれいな背景付きで撮っていただいたんですが、そんな世界観を含めて楽しんでいただけたらと思います。もちろんリンちゃん本体もよくできていて、本を支えている指先や、ちょっと返した足の指の表情まで可愛いんですよ。私の仕事としては、こちらを向いた顔の目線がすごく可愛くできたと思うので、目を合わせて楽しんでもらえたら嬉しいです。

──ありがとうございました!!

絶賛予約受付中の「ゆるキャン Δ 志摩リン 足湯 ver.フィギュア」。
原型制作を担当された、原型師のやまかつさんからもコメントをいただきました。

顔は 2 種類製作して、どちらも可愛さを追求しながら作らせていただきました。
読書顔と微笑み顔、この 2 種類をお楽しみいただけたらと思います。
服などは実際にあるものを探し、ポーズを取ったり、シワなどの表現を写真に撮ったりしながら資料を集めて製作していきました。服、ズボンの皺にもこだわりたかったので、慎重に資料を集めて製作していきました。
お顔にも服にもこだわりが詰まっているので、是非手に取って見て頂けたらと思っています。

プロフィール
原型師名:やまかつ
代表作:異世界レム 原型製作 (発売元:WonderulWorks)

原型、彩色ともこだわりの詰まったリンちゃんフィギュア。今回、あみあみニュースの読者1名様にこちらのフィギュアを抽選でプレゼントいたします!
ぜひご応募ください!!

(文 TAC☆)

キャンペーン概要

応募期間:2022年7月22日(金)~2022年8月31日(水)23:59まで

賞品:『ゆるキャン△』 志摩リン 足湯ver. 1/7 完成品フィギュア

当選者:1名様

応募方法:下記の「プレゼント応募フォーム」へ必要事項をご記入の上ご応募ください

※ご応募にはGoogleアカウントが必要になります。
※複数アカウントでの応募はご遠慮ください。
※当選者の発表は2022年9月中旬を予定しています。
※賞品の発送は商品発売後になります。
※当選された方へのDMをもって当選発表とさせていただきます。@amiamihobbynews からのDMが受信できるように設定をしてください。
※当選者の方にはDMにて「お名前」「ご住所」「お電話番号」を頂戴しますので、予めご了承のうえご応募ください。
(いただきました情報は賞品発送にのみ使用し、発送完了後に削除いたします。)
※当キャンペーンに関するお問い合わせは「あみあみニュース」サイト内「お問合せ」よりお願いいたします。
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プレゼント応募フォーム【あみあみ限定特典】『ゆるキャン△』 志摩リン 足湯ver. 1/7 完成品フィギュア 商品ページ『ゆるキャン△』 志摩リン 足湯ver. 1/7 完成品フィギュア 商品ページ『ゆるキャンΔ』 志摩リン 足湯ver. 特設WEB

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