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▲写真左から川口名人、横山宏氏、MAX渡辺氏。

コトブキヤ 秋葉原館5Fにて、6月6日~7日の2日間で「AKIBA模型フェア」が開催。コトブキヤ/マックスファクトリー/ガイアノーツ/ウェーブの4社合同で開催されたこのイベントは、新作や作例などの展示に加えステージイベントも計5回開催され、大いに盛り上がりを見せた。

そのイベントの中で、模型誌SF企画「マシーネンクリーガー」の作例、イラストなどで著名な横山宏氏、ガンプラ界を代表する川口名人ホビーメーカー「マックスファクトリー」代表、「MAX塗り」で知られるMAX渡辺氏による「BIG3対談」が実現。立ち見も出るほどの熱気の中、まさに模型界を代表する「BIG3」が、ここには書ききれないほどの密度の濃いトークを繰り広げた。

 

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▲壇上から観客を記念撮影する横山氏。肩肘張らないフランクな雰囲気の中、トークショーが始まった。

「付き合いとしては30年以上」という横山・渡辺・川口氏ら「BIG3」を前にして、会場の模型ファンのボルテージも最初から最高潮。まずは「初めて作ったプラモデル」という質問には「小学校に入る前、駄菓子屋でサンダーバード2号を買って作って砂場で失くした(川口名人)」「2歳の時に米軍基地祭で買った、記念ミニチュアがプラスチックとの出会い。家に昔のプラモデルが沢山あり、イマイのプラモデルをチューブ入り接着剤で作った(横山)」「プラモデルの最初の記憶は明確に5歳。幼稚園で好きな色を聞かれて、僕だけ『緑=零戦の色』と答えて親を呼び出された(渡辺)」と、現在では「BIG3」と呼ばれるモデラー達の、それぞれの原点を振り返った。

続いて「テスト前にも作っていた」などの「モデラーあるある話」へと進み、「高校の時、授業中キャノピーを磨いて割っちゃった(横山)」「初めて塗料を買った時、セットに付いていたフラットベースをキャノピーに塗って曇りガラスにしてしまった(川口)」などの、若き日の愛嬌たっぷりな失敗談を披露。それぞれの模型遍歴を語りつつ「最近は製造技術もお客さんの目も肥えて、そういうの(昔のプラモにあったいい加減な部分)は許されない。でも模型で『ちゃんとしなきゃいけない』ことはない(横山)」と、情報やツールに恵まれた、現在の模型界への想いも回顧とともに語られた。

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▲BIG3では最年長の横山氏。模型誌編集者にも模型を作らせるなど、体験に基づいた軽妙なトークで会場を沸かせた。

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▲「家族が寝た後に作る」「1体作るのに、一回も失敗しないことがない」など、意外なエピソードを語る川口名人。

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▲「figmaは僕にとっての『超合金』、握りしめながらTVを見るもの」と、現在の仕事にも繋がる原体験を語るMAX渡辺氏。

ここでMAX渡辺氏より、「模型における幸せな生き方」とは何か、というお題が出された。これは横山氏からも「会場に来た人だけが幸せになればいい(笑)」ということで、この記事にも全ては書けないが、「体力」と「忘却力」というキーワードを元に「失敗するから楽しい」「自分の作品を『模型誌の編集者の目線』で見る」「自分の作品にも、人の作品にも優しくしてあげるといい」といったポイントが、3氏の長年の経験から語られ、会場では大きく頷く人たちも多く見られた。

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▲先に開催されたトークショーに出演していたオオゴシトモエ氏がサプライズ登壇。

途中から、女性モデラーオオゴシトモエ氏がゲスト登壇。「BIG3」を前に緊張しつつ、プロではあるがユーザー寄りの立場でもある彼女から「モチベーションの上げ方」などが質問され、そこでは「仲間を作ろう」「諦めるポイントや落とし所を見つける」といった具体的な提案が出された。特にオオゴシ氏の言う「初心者から一歩進んだ人の方が、手間が読める分モチベーションが下がりやすい」という発言には会場からも大きな共感が広がり、「趣味だから、全部遊びでいい」「模型において、取り返せない失敗は無い」という励ましの言葉が横山氏らから贈られた。

最後に「仕事が趣味でも楽しいから頑張れる。どれだけ楽しめるかが鍵です。作っていると勝手に上手くなるので前向きに。最後はカッターナイフを握って倒れるのが理想(川口名人)」「ホビーは楽しい物なので楽しんで下さい。適当にやろう(横山氏)」「楽しまなきゃ、楽にしなきゃと思うと固くなる。適当に作った模型も意外に良いものです。お酒でも飲みながら作って下さい(渡辺氏)」と語られ、詰めかけた大勢のファンから大きな拍手が上がった。

 

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▲最後もやっぱり記念写真?終始楽しい雰囲気でトークショーは終了した。

横山氏、川口名人、渡辺氏という、模型界の一時代を築いた「BIG3」が一同に集う、模型を嗜んでいる人々から見れば「神々の饗宴」とも呼べる当イベントだが、蓋を開けてみれば会場では笑いが絶えないフランクな雰囲気。「録音禁止!」「ここだけの話ね」とかなりぶっちゃけたトークも繰り広げられ(※ahnは取材と掲載の許可を頂いています。念のため)改めて「初心者も熟練のプロモデラーも、模型ユーザーに垣根はない」「模型は趣味だから楽しくあるべき」という、基本かつ一番大切な事が肌で感じられた、楽しくも奥が深い内容だった。このイベントに参加できた人たちの、これからの模型ライフはきっとハッピーなものに違いない。(文中一部敬称略)