2014年12月27日、声優 山村響としても大躍進中の、アーティスト hibikuのライブが 吉祥寺 Planet K にて開催された。

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キャラクターソングメドレーやカバー曲を含む、珠玉の全20曲が披露された他、2015年2月から放送が開始されている『GO! プリンセスプリキュア』に、天ノ川きらら/キュアトゥインクル役で出演することが、ライブ内で本人から発表されるなど、本格ライブと祝賀ムードが融合する、熱く楽しい2時間半となった。

本記事では、その「hibiku PLANETARIUM Winter Live 2014 〜 Colorful 〜」の模様をリポートとしてお届けする。

 

hibiku PLANETARIUM 開演

開演直前。ライブハウス後方まで、それこそ立錐の余地もないほどに観客席が埋まった。

取材をしていた斯くいう私も、人が増えるにしたがって、関係者席付近から物販スペース横へ、物販スペース横から出入口前へと、2度の移動を余儀なくされるほどだった。
これは “ただごとではない”。関係者を含め、観客席の誰しもがそう思ったはずだ。熱気は天井付近まで満ち満ちて、脚立の上に立つ私は、汗を何度も拭い、カメラのファインダーを覗き込みながら、固唾を呑んだ。

 

静かなサウンドが流れ、オープニングがはじまる。そこに乗せて、hibiku ファンにはお馴染みのココロボットによるナレーション。ココロボットは、星々にまつわる創作寓話を語り、観客は、その物語の「お姫様になりたかった女の子」を hibiku と重ねていく。そして、静かにオープニングが終わり、オルゴールサウンドが耳に届く。そのゆったりとした4小節から、ハイハットの2ヒットを合図に一気にギアチェンジ。バンドによるサウンドが加速する! このライブに先駆けて発売された、新曲「Plastic Shoes」である。ジャケット撮影に使用された衣装もそのままに、hibiku がスポットライトに浮かぶ。観客も前奏に合わせ拳と声を上げる。力強いボーカルに歌詞の切なさが交わった、まさに独特の存在感を放つナンバーである。

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続けざまに彼女の名を冠した、そして 1st アルバムの表題曲でもある「hibiku the Universe」へ。hibiku 自身が作詞を担当したこの楽曲は、何度でも立ち上がる勇気と、そして希望を感じさせてくれる。

 

2曲を歌い終えたところで「こんばんは! ようこそお越しくださいました!」と hibiku からご挨拶。観客も、それに大きな拍手で応える。新曲「Plastic Shoes」について、hibiku からの楽曲解説が入る。この楽曲は、何度もオーディションに落ち、その悔しい想いを歌に込めたのだと述懐。hibiku はそこで、一瞬言葉を切って「本日、私だけのクリスタルシューズになってくれるであろうキャラクターに出会えました!」と喜びを露わにし『Go! プリンセスプリキュア』にて、メインキャラクターのひとり「キュアトゥインクル/天ノ川きらら」役で出演することが本人の口から発表された。客席から幾度も「おめでとう!」の声と拍手が飛んで、祝賀ムードが広がった。hibiku は「今日はこの幸せな気持ちをたくさん歌に込めてお送りしていきたいと思います」と挨拶を結んで、次の楽曲を歌い始めた。

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3曲目・4曲目は硬軟取り混ぜた選曲。孤独と刹那性、そんな中にも未来を感じさせる「モノクロColor」と、対照的に隣に大切な人がいる喜びとやすらぎを歌う「OYASUMI」。ある種の緊張感がある「モノクロColor」から、「OYASUMI」のゆったり・ふんわりとしたサウンドへ。それに酔いしれた観客は、歌い終えた hibiku の MC に耳を傾ける。

 

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「ひよこって知ってますか?」

唐突な hibiku の言葉に、客席に浮かぶ大きなクエスチョンマーク。誰しもが、いくつかの「ひよこ」を「あっち? こっち?」と、頭に思い浮かべて惑ったであろう。僅かの間、会場が小さくざわめいた。彼女から「(本当の) 鳥じゃないほうですよ」の一言があり「あっ、そっち?」と誰かの声。改めて「お菓子の “ひよ子” ってご存じですか?」それに観客一同が「はーい」と返す。「じゃあ、ひよ子はどこ (発祥) の銘菓か知ってますか?」その問いに「東京!」「福岡!」と声が掛かる。正解は福岡。意外と会場にも東京が発祥であると勘違いしていた人が多かった。hibiku は、その「ひよ子」と、福岡名産の「あまおう」とのコラボレーション商品「苺ひよ子」が美味しかったというエピソードを展開し、続いて「チロリアン (千鳥饅頭)」「筑紫もち (如水庵)」など福岡銘菓にも触れた。

 

そんな幕間を挟んで、再び歌へ。
ここでは、悲しい恋を歌った「melody」。愛おしい人への追憶「Love is Simple」と “深い” 楽曲が選ばれた。特に「melody」は hibiku の楽曲群でもかなり、彼女自身の色が深く濃い楽曲だと感じる。

hibiku 自身への応援ソングを熱唱

続くMCコーナーは、観客からの、お菓子の差し入れに同封されている “説明書き” を、声優「山村響」がキャラ付けしながら朗読する「差し入れ朗読」のコーナー。

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「ブールミッシュ」のコンフィズリー(砂糖菓子) であるマカロンについての説明書きを メイドさんがご主人様へお説教をしている風 に読み上げはじめる。思わず客席からは「ありがとうございます!ありがとうございます!」というお礼の言葉。ところが、マカロンの説明をするはずが、パートドフリュイ(ゼリー菓子) の説明を読んでしまう hibiku。観客からは「ドジっ子メイド!」という喜びの声。今度こそはと お兄ちゃんを起こしに行く酔っ払い妹系魔法少女キャラ風 でマカロンの説明を読み上げた。最後には、酔っ払うあまり眠ってしまうところまで演じ「差し入れ朗読」のコーナーは終了となった。

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ここからは、山村響がこれまで歌ってきたキャラクターソングを、hibiku としてカバーする「hibiku character songs medley 2014」。1曲目は『地下すぎアイドルあかえちゃん』から「何だっけ!?アイドル」。「学園天国」(フィンガー5)に代表されるような、ちょっと前のアイドルソングを思わせる原曲なのだが、メドレーでは豪華なバンドアレンジによって力強さと激しさが加わった。2曲目は『ドリームクラブ Gogo.』から「夢の静寂」。「普段のオリジナル曲では絶対に無いような歌」と hibiku 談。3曲目は『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』よりハルナのソロ曲「Sweet Error」。そして最後は「ブルー・フィールド」。客席一体となった All I see の掛け声は、空間を熱く震わせるパワーで響いた。

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hibiku は「キャラクターソングは “色んな世界” に行け “色んな曲調” で歌えるので大好き」とキャラクターソングへの思いを語り、「(聴いてくれる人が) どれだけキャラクターが歌っているように聞こえるかを念頭に置いている」ことを大切そうに口にした。そんなキャラクターソングを “hibiku” としてカバーできたことに喜びを隠せない様子であった。今後のライブでも同様のコーナーが実施される可能性が高い。残念ながらこの日のライブに参加できなかった人も、是非次回のライブで聴いていただきたい。

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さらに、もう1曲カバーが続く。小さい頃から大好きな楽曲で、大人になって改めてこの楽曲を聴きしみじみと「やはり良い曲だと思った。ずっと思ってた」という、藤井隆の「ナンダカンダ」。「この曲に1年、背中を押してもらった」と述懐。「ナンダカンダ」は、夢見たっていいんだ、泣くのではなく笑おう、自分の道を探そう、と心を奮い立たせる、自分自身への応援ソングだ。hibiku 自身、オリジナルの PV を見て練習したという振り付けをおこない、会場は大盛り上がりとなった。

この想いをカタチに。

「一緒に踊った後は、一緒に歌いましょう!」それをきっかけに始まる「ヒマワリのうた」。自然と客席から鳴り響くクラップ。そして大サビは会場全体での “LaLaLa…” のシング・ア・ソングに、hibiku がメインメロディで歌を重ねるという演出。爽やかな曲調と相まって、言いようのない感動が場を包んだ。

 

ここで小休止的な「KEIO songs」のコーナー。これは hibiku が上京した当時、京王線沿線に住んでおり、また特徴的な駅名が多かったことから、それに節をつけてサウンド・ロゴっぽく作っていたのが端初になっている。結構曲が作らていることもあってライブの機会に少しずつ披露されているのだ。これまで「桜上水」「千歳烏山」が発表されたのだが、この日は「東府中」が披露された。

そのサウンド・ロゴを披露する前に、バンド「PLANETS」のメンバー紹介が挿しはさまれる。ギター・目木とーるによる「コマ回しショー」。見事な紐&コマさばきで、空中に跳ね上げたコマを、手のひらで回すという妙技を繰り出した。

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負けじと、ドラム・今井義頼によるドラムスティック回し。また、ベース・backy のコンタクトレンズにまつわるエピソードが明かされたり、コマ回し・スティック回しときて、身体を回すという荒業も披露された。キーボード(バンドマスター)・岩瀬聡志からは「hibiku さんはデビューからぶれていない。変わっていない」という話題が出され、hibiku が照れる一幕も。

さて、肝心の「東府中」サウンド・ロゴは、キーボードによる遮断機の音や、バスドラで電車が通り過ぎる音を表現したりと、臨場感あふれるアレンジになっており、会場から笑いと歓声が巻き起こった。

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コーナー終わりから再びライブへ突入。
重いサウンドと歌詞がずしりと心に響く「真赤なリンゴ」から、「Milk & Honey」へ。この幸せな曲調の楽曲は、夢を叶えて進んでいく hibiku を表現したものかもしれない。聴きながら、そして頭のなかで歌詞を反芻しながら、そう思えた。

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hibiku は語る。「今日の“幸せ”は、こんな風にたくさんの方に集まってもらって、いっぱい笑顔を見せてもらったこと。今日も“最高に幸せ”。……だから、今日 “も” 今日 “の” 幸せを胸に抱きながら、この想いをカタチにしようと思います。それでは聴いてください『幸せのカタチ』」。
1st アルバム「hibiku the Universe」から、ラスト・トラック「幸せのカタチ」が歌われる。続いて爽やかなビートと歌詞に乗せたナンバー「風を感じて」。客席から力いっぱいの声と拳が突き出される。

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そしてノンストップで、本編最後の楽曲となる「Link your smile」へ。

 

楽曲が終わり、hibiku と PLANETS がステージから去る。この時点でライブスタートから2時間と少し。とても濃密な時間だったと感じた。だが、客席はまだ満足しきっていない。暗転したステージに向け、手拍子と hibiku コールを全力でぶつける。
それに誘われるように、ドラム・今井義頼が登場。華麗なスティックさばきで客席を盛り上げつつ、アンコールへ向けての一体感を高めていく。PLANETS のメンバーがステージ上に揃うと、hibiku が再登場!

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みんなと一緒に笑っていけたら。

「アンコールありがとうございますっ! 最後まで盛り上がって行きましょうっ! 『世界をもっと近くに』!」

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アンコール1曲目は「世界をもっと近くに」。疾走感溢れる楽曲に合わせ、観客は拳を高く掲げた。また、間奏では一糸も乱さずに声を合わせ盛り上げを図る。この曲がアンコールに来るのは、はじめての試みであると、hibiku から解説があった。

 

曲が終わるや hibiku から、このライブのために作成した “パーカー” の紹介。背面にはロケットに乗り込んだココロボット、そして hibiku や PLANETS のメンバーの名前とライブ・タイトルが “流星” として描かれている。ちなみに、これらは hibiki 直筆の絵を印刷したものである。

ここでPOPなサウンドを背負って「物販の長(おさ)」が登場。パーカーをはじめ、当日の販売アイテムについて、hibiku と寸劇を交えながらの解説がおこなわれた。各所で効果音が入ったり、客席からは「でもお高いんでしょ?」「安いー!」など定番の声が飛んだりして、あたたかい盛り上がりとなった。「物販の長」がステージから去るところで、岩瀬聡志が、かの有名な “某文化センター” のジングルを弾くなど、細やかな心配りも光った。

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そして「あしたのうた」へ。ふんわりとしたサウンドとリリックが、会場の雰囲気もゆるやかなものに変えていく。歌い終えて拍手が鳴り止むと、hibiku が静かに語りだす。

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「去年から、私のことを知ってくださるかたが急激に増えて、本当に嬉しい限りです。色んな経験をさせてもらって、たくさん幸せな気持ちにさせてもらって、嬉しいと思う反面、みなさんに “楽しい気持ち” を伝えられていないのでは、と不安になっています。相変わらず、トークも上手いワケではないし、終わってから色々なことを反省しています。このままでいいんだろうか? とか。なかなかいい結果が出せずに悲しくなってしまって、このまま私は消えて無くなってしまうんじゃないだろうか? とか……色々なことを考えた2014年でした。けれど、その不安な気持ちを上回って、みなさんから温かい手紙やコメントを贈ってもらって、そして実際に会いに来てくれて……笑顔をくれたり……パワーをもらって、いま私は地に足をつけて立っていられるんだな、と感じています。今日、ライブを開催するまで、すごくすごく不安な気持ちもあったのですが、2014年の最後に、声優としても嬉しいお知らせをすることができて安心していますし、声優としてもアーティストとしても、私の声をみなさんに届けていきたいです。そして2015年も、次の年も、またその次の年も、こうやって一緒に笑っていけたら、と思います」

少しの間があって、言葉を詰まらせながら「みなさん……本当に……大好きです」と、そっと口にした。

ここで hibiku からのお願いがあり、会場全体で彼女の名前を「hibiku ちゃん!」と呼ぶことに。合図とともに一斉に、客席からも、関係者席からも、PLANETSからも声が上がる。その彼女の名を呼ぶ声は、あまりにも一生懸命であたたかいものだった。

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アンコールのラスト・ソングは、感謝を込めた「アリガト」
アカペラで紡ぎだされる想いを乗せた言葉と、いまこの瞬間の、すべてのシチュエーションが合致するという演出に、思わず身震いする。

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アカペラパートが終わると、PLANETSの奏でるサウンドが加わり、そして客席からも自然とクラップがわき起こる。何度も何度も、hibiku から、そして客席から感謝の声が繰り返される。そうした幸せに満ちた空気のなか、hibiku PLANETARIUM Winter Live 2014 〜Colorful〜 は幕を下ろした。

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2014年における、hibiku の星々を巡る旅は、こうして終わった。
この「世界で一番の幸せ者」は、ライブハウスを出て行くファン、そのひとりひとりと丁寧に握手をし、言葉をかわし、幸せを分けていく。また、ファンは彼女の手を握りながら、各々の幸せを hibiku へと届けている。
終演後におこなわれた握手会は、そのような光景に見えた。

その幸せは積み重なって、やがて大きな星へ成長していくのだ。
そうあって欲しいと、願わずにはいられない。

 

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セットリスト

hibiku PLANETARIUM Winter Live 2014 〜 Colorful 〜
2014年12月27日 @東京・吉祥寺 Planet K

M01. Plastic Shoes
M02. hibiku the Universe
<MC>
M03. モノクロColor
M04. OYASUMI
<MC>
M05. melody
M06. Love is Simple
<MC / 差し入れ朗読>
M07. hibiku character songs medley 2014
 m01. 何だっけ!?アイドル『地下すぎアイドルあかえちゃん』より
 m02. 夢の静寂『ドリームクラブ Gogo.』より
 m03. Sweet Error『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』より
 m04. ブルー・フィールド『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』より
<MC>
M08. ナンダカンダ [cover]
M09. ヒマワリのうた
<MC / KEIO songs>
M10. 真っ赤なリンゴ
M11. Milk & Honey
<MC>
M12. 幸せのカタチ
M13. 風を感じて
M14. Link your smile

EN1. 世界をもっと近くに
<MC>
EN2. あしたのうた
<MC>
EN3. アリガト

 

PLANETS
Key. 岩瀬聡志
Gt. 目木とーる
Bass. backy
Dr. 今井義頼

 

[取材・撮影 amiami hobby news]
山村響オフィシャルブログ「Take the Funny Train」